BHAとスポイト

「酸化防止剤に『BHA(ブチルヒドロキシアニソール)』を使っているドッグフードは危険!」
「BHAは発がん性がある」

そういった内容の記事やブログを見たことはありませんか?

その一方で、「市販されているドッグフードは制限量を守っているため、がんになることはない」と書かれている記事・ブログを見たことがあるかもしれません。

当サイトが考える結論は、「日本で売られているドッグフードは制限量を守っているためがんになる心配はないが、ぜったい大丈夫とは言い切れない」です。

ですが、がんにならなくても、ワンちゃんの健康になんらかの害を及ぼす可能性はあります。

例えば「涙やけ」「皮膚・被毛の乱れ」の原因の一つは、人工の添加物(BHAなど)だと言われています。

また、BHAはプレミアムフードで使われることはほぼなく、比較的、安いドッグフードで使われています。

そのため、金銭的に余裕のある方や、ワンちゃんの健康を第一に考えている方は、BHAを避けたほうがいいでしょう。

この記事では、そもそも「BHAはどのようなものか」「BHAなどの酸化防止剤が必要な理由」「天然由来の酸化防止剤・人工の酸化防止剤」について紹介します。

ドッグフードに使われる「BHA(ブチルヒドロキシアニソール)」とは?

BHAが入ったフラスコを持つ研究者

BHA(ブチルヒドロキシアニソール)は、酸化防止剤として「食品」や「化粧品」に添加される人工的に作られた物質です。

BHAは、ドッグフードの酸化防止剤として使われることもあります。

実際にBHAは、Amazonなどのネットショップ・ホームセンター・ペットショップ・ドラッグストアなどで売られている有名ドッグフードでも使われています。

ですが、「人工的に作り出されたもの」だということで、その安全性について疑問をもたれることがあります。

また、日本の研究グループが行ったラットを使った実験では、「極端に過剰摂取した場合、発がん性がみられた」とされています。

そのため、現在では、人・ペットに対してBHAの摂取の上限量が決められています。

ラットを使った実験結果や摂取量に上限があることから、「BHA=危険なもの」と考えられることがあります。

その一方で、ラットの実験の摂取量は、通常ではあり得ない量のため、発がん性について心配する必要はない、との見解もあります。

ドッグフードの酸化防止剤とその働きとは?

ドッグフードの酸化防止剤

ドッグフード(ドライフード)は保存食のため、基本的に酸化防止剤は必須となります。

ドッグフードのパッケージを開けてから、使い切るまでに1ヶ月程度の猶予があるのは「酸化防止剤」が油脂の酸化を遅らせているためです。

もし、酸化防止剤が含まれていなかったら、パッケージを開け空気に触れた瞬間から酸化が始まり、2〜3日ももたないでしょう。

酸化したドッグフードは、ワンちゃんが美味しいと感じるものではありません。

また、酸化したドッグフードを食べることで、「下痢」「嘔吐」などの症状が出てしまうこともあります。

ドッグフードに使われる酸化防止剤の種類

ドッグフードに使われる酸化防止剤

ドッグフードに使われる酸化防止剤は、大きく分けて「天然由来のもの」「人工のもの」2種類に分けられます。

天然由来の酸化防止剤

天然由来の酸化防止剤で特に目にする機会が多いのが、次の3つです。

天然由来の酸化防止剤

  1. ミックストコフェロール
    →ビタミンEのことで、ナッツ類、緑黄色野菜などに豊富に含まれる。
  2. ローズマリー抽出物
    →シソ科のローズマリー(マンネンロウ)から抽出される成分
  3. クエン酸
    →レモンなどの柑橘類に含まれる酸味成分の一種

天然由来の酸化防止剤のメリットは、化学薬品などを使って作られたものではないため、安全性が高いことです。

一方、デメリットは、酸化防止の能力が「人工の酸化防止剤」より弱く、効果が3〜4週間しか持続しないことが挙げられます。

人工の酸化防止剤

人工の酸化防止剤でよくドッグフードに使われるのは、次の3つです。

名前 詳細
BHA
(ブチルヒドロキシアニソール)
  • もともとは「車のエンジンオイル」などに使われていた
  • 酸化防止の効果は約2ヶ月
  • ドッグフードでは、「BHA・BHT・エトキシンの合計量が150μg/gまで」(※)
BHT
(ジブチルヒドロキシトルエン)
  • もともとは石油用の抗酸化剤として使用されていた
  • 現在ではBHAと同様、食品(ガム・油脂・バターなど)に使われている
  • ドッグフードでは、「BHA・BHT・エトキシンの合計量が150μg/gまで」(※)
エトキシキン
  • 「リンゴ・なしの日焼け防止」「殺虫剤」にも使用される
  • 人の1日の摂取許容量は「体重1kgあたり0.005mg」まで
  • ドッグフードなどの「含有量は75μg/g以下」であること
  • ドッグフードでは、「BHA・BHT・エトキシンの合計量が150μg/gまで」(※)
  • 基準値を超えて摂取すると、「皮膚炎」「がん」を発症する可能性あり

※参考文献:「ペットフード安全法・基準規格等」

メリットは、酸化防止の能力に優れ、効果が1〜2ヶ月程度、持続します。

デメリットは、人工的に作り出された物質のため、「使用量に制限がある」など安全性に疑問が残ることです。

まとめ

両手の中のドッグフード

これまで「BHA(ブチルヒドロキシアニソール)」について、多くの調査・実験が行われてきました。

その中で「決められた量を守れば危険性はない」というのが、今のところの結論となっています。

ですが、物事に絶対はありません。

また、BHAに「含有量に制限がある」「人工的に作られたものである」ために、愛犬にあたえることに抵抗を感じる飼い主も多くいます。

BHAをはじめとする「人工の酸化防止剤」を使ったドッグフードは、ネットショップ・ホームセンター・ドラッグストア・ペットショップなどで購入できます。

さらに、天然由来の酸化防止剤を使ったものよりも、人工の酸化防止剤を使ったドッグフードの方が、安い製品が多い傾向にあります。

例えば、安くて品質の良い「ロイヤルカナン」「IAMS(アイムス)」などの有名ドッグフードはBHAを使っています。

万が一のことを考えて安全性の高い「天然由来の酸化防止剤」のものを選ぶか、コストパフォーマンスのことを考えて「BHAなどの人工の酸化防止剤」を使っているものを選ぶか、それは飼い主の考え方次第になるということだと思います。

こちらの記事では、ドッグフードに使われる人工の添加物についてまとめています。

無添加(人工の添加物を使っていない)ドッグフードは、こちらの記事をどうぞ!