サーモンの切り身

「愛犬にサーモン(鮭)をおすそ分けしたい」

そう思ったことはありませんか?

犬はサーモンを食べることができるので、おすそ分けをして一緒に楽しむことができます。

ですが、あたえる際に気をつけなければならないこともあります。

例えば、寄生虫がいることがあるため「熱を通す」などです。

この記事では、「サーモンを食べていい理由」「正しいあたえ方」「あたえるときの注意点」「サーモンに含まれる成分」を紹介します。

犬はサーモン(鮭)を食べても大丈夫

嬉しそうなトイプードル

犬はサーモンを食べることができます。

生であたえるのは危険な場合があるため、熱を通す必要はありますが、人間の食べるサーモンをおすそ分けすることができます。

サーモンは栄養が豊富で、食べることによって得られるメリットが多くあります。

そのため、サーモンはドッグフードの主原料として使われていたり、サーモンオイルという形でサプリメントとして売り出されていたりもします。

また、サーモンは犬がアレルギーを起こしにくい食品です。

「牛」「鶏」「豚」などのお肉でアレルギーが出てしまう犬にとっては、アレルギーの出にくいサーモンは救世主的な存在ですらあります。

そのようなこともあり、サーモンはアレルギー対策用のドッグフードで使われることがよくあります。

そんなサーモンを愛犬と一緒に食べられるのは嬉しいですよね。

「鮭」と「サーモン」の違いは?

あなたは鮭とサーモンの違いがわかりますか?

実は鮭とサーモンは同じサケ類の魚ですが、別の種類の魚です。

鮭とサーモンには、次の特徴があります。

鮭・サーモン 特徴
  • サケ科サケ属の海水魚
  • アニサキスなどの寄生虫がいることがあるため、加熱して食べるのが一般的
  • スーパーなどでは、「銀鮭」が塩鮭として売られている
  • 朝食などで、焼き魚として食べることが多い
  • 犬にあたえる場合、塩分が添加されていないものにすること
サーモン
  • 正式にはサケ科サケ属ニジマスの淡水魚の「トラウトサーモン」を指す
  • 実際はアトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)を指すことが多い
  • アトランティックサーモンは、北大西洋に多く生息する海水魚
  • 日本で見かけるのはほとんどが養殖もの
  • 生食に向いている
  • 回転寿司などで見かけることが多い
  • 犬にあたえる場合、念の為、加熱すること

鮭とサーモンはよく混同されますが、実は違う魚なんです。

ですが、サケ類に属するという部分では同じです。

サーモンオイルやサーモンを使ったドッグフードはこちらの記事にまとめています。

サーモン(鮭)の栄養価

鮭とサーモンの栄養価を「文部科学省」の「食品成分データベース」で調べてみました。

しろさけ
(焼き)
サーモン
(たいせいようさけ)
(焼き・皮付き)
エネルギー 160kcal 270kcal
水分 64.2g 54.6g
たんぱく質 29.1g 24.5g
脂質 5.1g 19.7g
カリウム 440mg 460mg
EPA 300mg 470mg
DHA 550mg 740mg
ビタミンA 14μg 17μg
ビタミンB12 6.0μg 5.6μg
ビタミンD 39.0μg 11.0μg
ビタミンE 1.4mg 4.6mg

出典:「食品成分データベース

この表の中で特に重要な栄養素について見ていきます。

カリウム

野菜・肉類・魚に多く含まれるミネラル類です。

鮭やサーモンにもしっかりと含まれています。

カリウムは細胞が正常に働くために必要不可欠なものです。

また、ナトリウムとペアで働き、余分なナトリウムを体外に排出する働きもあります。

余分なナトリウムを体外に排出することで、血圧を下げ心臓の働きを正常な状態に保ちます。

EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)

EPA・DHAは、体内で作ることができない「必須脂肪酸」の一種です。

体内で作ることができないため、食事で摂取する必要があります。

EPA・DHAは体内で代謝され、炎症を抑制する物質が作られます。

EPA・DHAを摂取することにより、炎症を伴う疾患の改善が期待できます。

具体的には「アレルギー性皮膚炎」「アトピー性皮膚炎」「その他の皮膚炎」「関節炎」などに対する改善効果です。

また、「がん」「高脂血症」の改善効果「認知機能」の向上効果も期待できます。

ビタミンA(レチノール)

ビタミンAは、魚・レバー・卵に多く含まれる栄養素です。

暗やみでの視力を正常に保つために必要となります。

また、「皮膚の成長」や「皮脂の量を調整する機能」を正常に保つのに役立ちます。

「皮膚の成長」と「皮脂の量を調整する機能」が正常に働くことにより、フケをおさえたり、脂漏症を解消したりする効果も期待できます。

ビタミンAをしっかりと摂ることで、犬は健康的な皮膚・毛艶を維持することができます。

ビタミンB12(コバラミン)

ビタミンB12は、動物性食品(肝臓・腎臓・心臓・肺・魚・肉)のみに含まれます。

タンパク質の合成や赤血球の形成など重要な働きがあり、犬が健康に生きていくために必須の栄養素です。

ビタミンB12により、「老化防止」「貧血防止」などの効果が期待できます。

ビタミンD(カルシフェロール)

ミネラルである「カルシウム」や「リン」の代謝を調整する役割があります。

脂肪分の多い魚やレバーに多く含まれますが、肉類や野菜にはほとんど含まれません。

また、人間はビタミンDを体内で合成できますが、犬は体内で合成することができません。

そのため、食事で摂取することが重要となります。

ビタミンDは、「カルシウム」「リン」の吸収を助け、排尿で体外に出る量を減らします。

また、血中のカルシウム濃度を調整する働きもあります。

ビタミンE(トコフェロール)

強い抗酸化作用をもつ栄養素で、酸化ダメージから細胞を守ることにより、若々しい体を維持することができます。

また、細胞の酸化を抑える効果により、老化による疾病の予防や治療に役立つと考えられています。

ビタミンEはビタミン類の中でも毒性が低いため、過剰に摂取してもほとんど問題になりません。

その一方で、不足した場合、皮膚や免疫系の異常が起こることが確認されています。

サーモン(鮭)の正しいあたえ方

飼い主を見る犬

犬にサーモンをあたえることには、さまざまなメリットがあります。

サーモンは栄養価が高いため、食べることで体のケアを行うことができます。

また、人が食べて美味しいサーモンは、犬にとってもごちそうになるに違いありません。

ですが、求められるがままあたえるのは愛犬のためになりません。

ここでは、適切なサーモンのあたえ方を紹介します。

サーモンは加熱してあたえよう

日本のスーパーやデパートで見かけるサーモンはほとんどが養殖ものです。

そのため、生で食べてもほとんどの場合、問題は起こりません。

ですが、「万が一」ということがあります。

犬にサーモンをあたえる時は熱を加え、菌や寄生虫などを取り除いてあげましょう。

あたえる量は1日の摂取カロリーの10%まで

愛犬が喜ぶからと、サーモンをあげ過ぎるのはNGです。

通常、1日のおやつ(サーモンもおやつと考えます)の量は全体の10%までとします。

そして、1日のドッグフードはおやつの10%を引いた量をあたえます。

1日にあたえてもいいサーモンの量がわかる表を作成しました。

体重
(kg)
1日に必要なカロリー
(kcal)
おやつのカロリー
(kcal)
1日のサーモンの量
(g)
1 112 11 4.1
2 188 19 7.0
3 255 26 9.4
4 317 32 11.7
5 374 37 13.9
6 429 43 15.9
7 482 48 17.9
8 533 53 19.7
9 582 58 21.6
10 630 63 23.3
11 676 68 25.0
12 722 72 26.7
13 767 77 28.4
14 811 81 30.0
15 854 85 31.6
16 896 90 33.2
17 938 94 34.7
18 979 98 36.3
19 1019 102 37.7
20 1059 106 39.2

※.不妊・去勢をしている成犬(1~7歳)の場合。

一番、右の列が1日あたりのサーモンの量(g)になります。

「体重」と「1日のサーモンの量」を見て、これを超えないようにサーモンをあたえるようにしましょう。

皮はコラーゲンが豊富

サーモンの皮にはコラーゲンが豊富に含まれます。

コラーゲンには関節の動きをスムーズにする働きが期待できます。

皮の部分は弾力があるため犬の歯で噛み切るのは難しいかもしれません。

そういった場合は、1口サイズに切ってあたえるのがおすすめです。

骨はとってからあたえよう

サーモンや鮭によっては、骨がついているものがあります。

そのままあたえると喉などにささり、かわいそうなことになります。

骨を取るのが手間な方は、小骨まで取り除かれている刺身用のサーモンを加熱してあたえるのがおすすめです。

犬にサーモン(鮭)をあたえるときの注意点

サーモンの刺し身

愛犬が喜んでくれて栄養も豊富なサーモンですが、あたえるときに注意しなければいけないこともあります。

ここでは、具体的に何に注意すればいいのか、紹介します。

アニサキスによる食中毒

天然のサーモン・鮭にはアニサキスという寄生虫がいる可能性があります。

ですが、日本で見かけるサーモンの大部分は養殖もののため、アニサキスの心配はいりません。

また、天然のサーモンでも冷凍保存されている間に死滅します。

ですが、天然のサーモンを冷凍保存や加熱をせずに食べた場合、アニサキスによる食中毒を起こしてしまうことがあります。

アニサキス食中毒の症状は「激しい痛み」「嘔吐」「内蔵疾患」などです。

スーパーやデパートなどに流通しているサーモンで、アニサキスが問題になることはほぼありません。

ですが、愛犬にあたえる場合は、食中毒の可能性も考えて熱を加えたものをあたえるようにしましょう。

ビタミンB1欠乏症に注意

生のサーモンには「チアミナーゼ」という成分が含まれます。

チアミナーゼにはビタミンB1を分解する酵素が含まれています。

そのため、大量に摂取すると、体内のビタミンB1が分解され「ビタミンB1欠乏症」になってしまう可能性があります。

ビタミンB1欠乏症の症状としては、フラフラと歩くようになる「運動障害」などがあります。

熱を通せばビタミンB1を分解する酵素の働きはとまります。

ビタミンB1欠乏症を防ぐ意味でも、熱を通してからサーモンをあたえるようにしましょう。

アレルギーが出ないことを確認する

どの食べ物もそうですが、犬によってはサーモンがアレルギーの原因になってしまうことがあります。

アレルギーになってしまうと「しっしん」「皮膚のかゆみ」「下痢」「嘔吐」「元気がなくなる」「発熱」などの症状が出ます。

サーモンは犬がアレルギーを起こしにくい食べ物だと言われています。

ですが、実際に食べてみないとわからないので、本格的にあたえるまえにお試しであげて大丈夫か確認するようにしましょう。

まとめ

かごに入っている犬

まとめ

  • 愛犬と一緒にサーモンを楽しむことができる
  • 「皮は1口サイズにカット」「骨は取り除く」「熱を通す」が重要
  • サーモンにはEPA・DHAなどが豊富に含まれる
  • あたえすぎに注意!
  • 最初は少しだけあげて、アレルギーが出ないことを確かめる

サーモンって美味しいですよね!

犬にとってもきっとサーモンはごちそうになると思います。

あたえかたに気をつけつつ、愛犬とサーモンを楽しんでくださいね!